ピュアポストとは、ロウ付けや溶接を使わずに、ピアスの飾り部分とポストを異種金属が全く入らない方法で接合したピアスポストのことです。 ”ピュア” という言葉に異種金属の混入が ”ゼロ” という意味を込めました。
スタッドピアスでピュアポストを実現するために、細いポスト部分を含めてスタッドピアスの形そのものをサージカルステンレス無垢材から削り出す超精密加工が必要になります。
実は、金属アレルギー対応アクセサリーとして販売されているサージカルステンレス製スタッドピアスのほとんどが、ロウ付けによってポストが接合されています。そのため、接合部分には異種金属の混入してしまっているのですが、販売者が積極的には周知をしないため、一般消費者の方々がそれに気が付くことが難しい状況になっています。
サージカルステンレスピアスなのに金属アレルギーが出たという経験がある人の中には、このことが原因の方がいるかもしれません。
私たちLunanoでは、サージカルステンレス製スタッドピアスの”ちゃんとした”金属アレルギー対策として、ピュアポスト仕様にすることが必要不可欠だと考えております。
- ピュアポストでスタッドピアスを作るようになった経緯
- スタッドピアスのピュアポストとはどのような精密加工か
- ちゃんとした金属アレルギー対策としてピュアポストが必要不可欠な理由
- ピュアポストでスタッドピアスを作る意義
金属アレルギー対応アクセサリーについてのあまり知られていない事実にも触れた記事になっており、興味深い内容になっていると思いますので是非ご覧ください。
ポストの接合を外注した時の衝撃
私たちがブランドLunanoを立ち上げて最初の製品であるナノミラースタッドピアスの試作品を実際に作ることになったときの話です。
ナノミラースタッドピアスとは、薄いラウンド形状の表面を私たち独自のナノフラ加工という研磨技術で超鏡面に研磨して仕上げたサージカルステンレス製のスタッドピアスです。
私たちには鏡面研磨の技術はあったのですが、研磨以外の金属加工技術がなかったので、ポストとラウンド部の接合については、その技術を持った専門の会社様に依頼する必要がありました。
その当時、私たちはガラス加工を専門で行っていて宝飾業界については全く知らなかったので、まずはその業界で長く事業されているある会社様にポスト接合の相談をしました。
どのように接合するか伺ったときに、「ロウ付け」で接合するという回答をいただきました。
ロウ付けというのは、母材よりも溶けやすい合金(ロウ)を接着剤として金属同士を接合する方法です。ステンレスの場合は銀ロウ(銀・銅・亜鉛の合金)で接合するのでその部分に異種金属が混入してしまいます。
サージカルステンレスに異種金属が入ってしまうと金属アレルギー対応とは言えなくなると思いましたので、ロウ付けではなく溶接による接合が可能かどうかを尋ねたところ、ステンレスの細いポストは溶接による接合が不可とのご回答でした。(溶接とは母材同士を高温で溶かして異種金属が入らないように金属同士を接合する方法)
その後、いろいろ調べてもサージカルステンレスの接合をロウ付け以外でやっていただける外注先が宝飾業界内では見つからず、このときに、今販売されているサージカルステンレス製のスタッドピアスは、おそらくほとんどがロウ付けにより接合されているため異種金属が入ってしまっている、という事実に初めて気が付きました。
そして、そのことに関して一般消費者の方々に特に周知することなく販売していることにも・・・。
ピュアポストの誕生
ここで妥協して、ロウ付けしているにもかかわらず金属アレルギー対応ピアスとして販売を始めることはどうしても避けたかったので、新たな方法を模索しました。
- ジュエリー業界にいなかったのでジュエリーの加工方法に対する先入観が全くなかったこと
- プチプラ価格ではないジュエリー製品を作りたかったのでコストの制約が小さかったこと
これらの条件が良い方向に働いて、すぐに対処方法にたどり着くことができました。
もともとラウンド部はサージカルステンレス丸棒から削り出して作るつもりだったので、
いっそのことポストも含めて一体型として削り出してしまえば、異種金属が全く入らず強度的にも申し分のないスタッドピアスになる
と考えました。
問題は、加工が難しいサージカルステンレスをスタッドピアスの形に美しく削り出してくれる外注先が見つかるかどうかでした。このような難易度が高い加工をこちらが望む仕上がりと予算の範囲内で加工していただける外注先を見つけるのは大変ですので、時間がかかることを覚悟しました。ところが、以前に産業系の展示会で知り合いになったある会社様に打診したところ、すぐに話がまとまり試作まで進めることができました。
この過程をスムーズに進めることができたのは非常に運が良かったと思います。
「異種金属の混入がゼロであるポストの接合」という概念がジュエリー業界では浸透しておらず、当然、一般消費者の方々にもなじみがありません。
「ロウ付けや溶接ではなく、無垢材からの削り出しによって形成した異種金属の混入がゼロのピアスポスト」のことを、なるべく覚えやすく一言でイメージできるように
ピュアポスト
と名付けることにしました。
ピュア(pure) には、「純粋な・不純物のない・混じりけのない・澄んだ」などの意味があります。
”ちゃんとした”金属アレルギー対応製品として販売するためには、異種金属が全く入らないピュアポスト仕様で作ることが必要不可欠だと私たちは考えております。
ピュアポストでスタッドピアスを作る意義
金属アレルギーに最大限配慮した方法で製作することにより、異種金属が全く入らない完全なオールサージカルステンレスピアスとして消費者の方々に自信をもって提供できます。
ナノミラースタッドピアスの材料であるサージカルステンレスは、日本メーカーが製造したものを使用しております。
ピュアポストの削り出し加工も、日本メーカーがCNC旋盤というコンピューター制御された精密な加工機械でサージカルステンレスの丸棒の外周を少しずつ削りながら行います。最終的には太さ0.74mmのポストを百分の1mm以下という非常に高い精度で美しく削り出します。
産業部品の製作でしか使われていなかった素晴らしい日本の技術を、宝飾業界という新しいフィールドで購入者の健康を守るという意義のある形で生かすことができます。
最後に、私たちがナノフラ加工というナノレベルでフラットに鏡面加工する特別な研磨技術で仕上げることで、ナノミラースタッドピアスが完成します。
サージカルステンレスそのもののが持つ性能と美しさを極限まで引き出すために、日本の高い技術を融合してこれまでにない方法で製造したナノミラースタッドピアスは、
- 純国産のサージカルステンレスジュエリー(※1)であること
- ピュアポスト・メッキレス加工により完全なオールサージカルステンレス製であること(※2)
- ナノフラ加工によって金属そのものが持つ本来の美しさが引き出されていること
など、今までにない価値を提供できる新しいサージカルステンレスジュエリーになっています。
(※1)サージカルステンレスアクセサリーは、残念ながらほとんどのものが海外生産品です。
(※2)ピュアポストで製作しただけでなく、異種金属が入るメッキ加工をしないことで、サージカルステンレスの金属アレルギーが起きにくい性質を最大限発揮できるようにしております。